数学II・数学B 第5問

「事象の独立」を聞かれるとは。遠い昔、受験生時代には独立の定義を覚えていたかも。今はすっかり忘れました。


分布表第5問 (選択問題) (配点 20)

右の表はあるクラスの英語と数学の成績の分布である。生徒数は50人で,成績は1から5までの5段階評価である。たとえば,この表によると英語の成績が4,数学の成績が2の生徒の数は5人である。

このクラス全員の名札50枚をよくまぜて,1枚を取り出し,その名札の生徒の英語の成績を$X$,数学の成績を$Y$として確率変数$X$$Y$を定める。

ただし,同姓同名の生徒はいないものとする。


最後の「ただし,同姓同名の生徒はいないものとする」が渋いです。「同姓同名がいる」とすると$X$$Y$の決定に更に規則が必要なはずで、問題が繁雑になるということでしょう。

ただ、この問題を読んだときに「同姓同名がいたらどうするの?」と考える人はまずいない。普通はここまで厳密に規定しないでしょう。「事象の独立」という渋いところを聞いてくる出題者は流石にキッチリしてます。


(1) $X=4$となる確率は${\displaystyle \frac{\mbox{[ ア ]}}{\mbox{[ イウ]}}}$である。

$X=4$かつ$Y=3$となる確率は${\displaystyle \frac{\mbox{[ エ ]}}{\mbox{[オカ ]}}}$である。

$X\geq 3$となる確率は${\displaystyle \frac{\mbox{[ キ ]}}{\mbox{[ クケ ]}}}$である。

$X\geq 3$という条件のもとで$Y=3$となる条件つき確率は${\displaystyle\frac{\mbox{[ コ ]}}{\mbox{[ サシ ]}}}$である。


数えられれば解答できます。分布表が与えられてるので、そこに書き込みながらやると良いでしょう。

まず$X=4$すなわち英語の成績が4の人は

X=4の人数を書き込んだ分布表

のように$1+0+7+5+1 = 14$人いて、クラス全員は50人いるので、求める確率は${\displaystyle \frac{14}{50} = \frac{7}{25}}$です。

${\displaystyle \frac{\mbox{[ ア ]}}{\mbox{[ イウ ]}} = \frac{7}{25}}$

続いて$X=4$かつ$Y=3$すなわち英語の成績が4で数学の成績が3の人は

X=4かつY=3の人数に丸をした分布表

7人いるので、求める確率は${\displaystyle \frac{7}{50}}$だ。

${\displaystyle \frac{\mbox{[ エ ]}}{\mbox{[ オカ ]}} = \frac{7}{50}}$

$X\geq 3$となる人数は

X >= 3の人数を書き込んだ分布表

$(1+3+1+0+1) + 14 + (2+1+0+9+3) = 35$なので、求める確率は${\displaystyle \frac{35}{50} = \frac{7}{10}}$でんねん。

${\displaystyle \frac{\mbox{[ キ ]}}{\mbox{ クケ }} = \frac{7}{50}}$

$X\geq 3$となるのは35人、そのうち$Y=3$となるのは$1+7+0 = 8$人なので、$X\geq 3$という条件のもとで$Y=3$となる条件つき確率は${\displaystyle\frac{8}{35}}$でごわす。

${\displaystyle \frac{\mbox{[ コ ]}}{\mbox{[ サシ ]}} = \frac{8}{35}}$


(2) $a + b = \mbox{[ ス ]}$であり,$X = 2$となる確率は${\displaystyle\frac{\mbox{[ セ ]}}{\mbox{[ ソ ]}}}$$X$の平均(期待値)は${\displaystyle\frac{[ タチ ]}{[ ツテ ]}}$である。


ここまで順番に解いていれば、計算に必要な値はほとんど分布表に書き込まれてるでしょう。足りないのは$X = 2$となる人数と$X =1$となる人数くらいでしょうか。それも書き込んで

各Xの人数が書き込まれて分布表

とすれば$a + b + 7 = 10$すなわち$a + b = 3$が解るでしょう。気安めに数式も書いてみると、クラス全員は50人なので

\begin{eqnarray*}35 + (a + b + 7) + 5 & = & 50 \\a + b + 7 & = & 50 - (35 + 5) \\a + b + 7 & = & 10 \\a + b & = & 3\end{eqnarray*}

です。

$a + b = \mbox{[ ス ]} = 3$

$X = 2$となるのは10人だということも解ったので$X = 2$となる確率は${\displaystyle \frac{10}{50} = \frac{1}{5}}$です。

これで$X$の期待値も求められて

\begin{eqnarray*}& & 5\cdot\frac{6}{50} + 4\cdot\frac{14}{50} + 3\cdot\frac{15...... 50 + 56}{50} \\& = & \frac{156}{50} \\& = & \frac{78}{25}\end{eqnarray*}

となります。

${\displaystyle \frac{[ タチ ]}{[ ツテ ]} = \frac{78}{25}}$


(3) $Y$の平均が${\displaystyle \frac{133}{50}}$であれば

\begin{displaymath}a = \mbox{[ ト ],}\;\;\;\;\; b = \mbox{[ ナ ]}\end{displaymath}

である。


この辺から問題が素直でなくなってきます。$Y$の平均が先に与えられて、それをもとに、$a$$b$を求めることになりました。

まずは$Y$の平均$E(Y)$を計算しましょう。必要な値を

各Yの人数が書き込まれて分布表

と分布表に書き出しておいて

\begin{eqnarray*}E(Y) & = & 5\cdot\frac{5}{50} + 4\cdot\frac{4+b}{50} + 3\cdot......}\{5\cdot5 + 4\cdot(4+b) + 3\cdot 15 + 2\cdot 15 + 1\cdot(8+a)\}\end{eqnarray*}

を計算します。これが${\displaystyle \frac{133}{50}}$に等しいので

\begin{eqnarray*}\frac{1}{50}\{5\cdot5 + 4\cdot(4+b) + 3\cdot 15 + 2\cdot 15 +......4b + a & = & 133 \\124 + 4b + a & = & 133 \\4b + a & = & 9\end{eqnarray*}

です。この式と前の設問で求めた条件$a + b = 3$から

\begin{displaymath}\begin{array}{rrcrcr}& 4b & + & a & = & 9 \\-) & b & + & a & = & 3 \\ \hline& 3b & & & = & 6\end{array}\end{displaymath}

$b = 2$が解ります。これを$a + b = 3$に代入して$a = 1$が求まります。

$a = \mbox{[ ト ]} = 1$$ b = \mbox{[ ナ ]} = 2$


(4) $X = 2$という事象と$Y =4$という事象が独立であれば

\begin{displaymath}a = \mbox{[ ニ ],}\;\;\;\;\;b = \mbox{[ ヌ ]}\end{displaymath}

であり,$Y$の平均は${\displaystyle \frac{\mbox{[ ネノ ]}}{\mbox{[ ハ ]}}}$である。


ここまでトトトンと進んできて「今年は確率簡単だし、これ選択するのが正解かあ」と思ってたのに、ここで鉛筆が止まります。最後にトラップが仕掛けられてた感じですな。

事象の独立って定義どんなんでしたっけ?覚えてなければお手上げです。いまさら他の問題を選択しても時間が厳しいでしょう。もう日頃信心してる神様を思い出しながら当てずっぽうでマークするしかない。いま$a + b = 3$$a$$b$はもちろん負でない整数なので$(a, b) = (0, 3),(1, 2), (2, 1), (3, 0)$のどれかです。神を信じれば当たるかも。

「神はサイコロ遊びをなさらない」と言ったのはアインシュタインですが、当てずっぽうが気に入らない場合は独立の定義を頑張って思い出します。事象$A$$B$が独立であるためには

\begin{displaymath}P(A \cap B) = P(A)P(B)\end{displaymath}

が成り立てば良いです。いまの場合だと

\begin{displaymath}P(X = 2 \cap Y =4) = P(X = 2)P(Y =4)\end{displaymath}

が成り立てば良いです。

そして分布表

分布表

を眺めて

\begin{eqnarray*}P(X = 2 \cap Y = 4) & = & \frac{b}{50} \\P(X = 2) & = & \frac{1}{5} \\P(Y = 4) & = & \frac{4 + b}{50}\end{eqnarray*}

なので、$X = 2$$Y =4$が独立のとき

\begin{eqnarray*}P(X =2 \cap Y= 4) & = & P(X =2)P(Y = 4) \\\frac{b}{50} & =......t\frac{4+b}{50} \\5b & = & 4+b \\4b & = & 4 \\b & = & 1\end{eqnarray*}

です。このとき$a + b = 3$から$a = 2$です。

$a = \mbox{[ ニ ]} = 2$$b = \mbox{[ ヌ ]} = 1$

それで、もうどうでも良いような気もしますが、聞かれてるので$Y$の平均求めときます。

\begin{eqnarray*}E(Y) & = & \frac{1}{50}\{5\cdot 5 + 4\cdot(4+b) + 3\cdot 15 +...... 45 + 30 + 10) \\& = & \frac{130}{50} \\& = & \frac{13}{5}\end{eqnarray*}

${\displaystyle \frac{\mbox{[ ネノ ]}}{\mbox{[ ハ ]}} = \frac{13}{5}}$

最後に$Y$の平均を求める問題を入れることによって、「事象の独立」を知らないとマークシートに五つ空白ができるようにしてます。これで他の選択問題と平均点をあわせてるんでしょう。

さて。独立の定義から機械的に計算して$a$$b$が求まりました。問題解くだけならこれでハッピーです。

しかし、ちょっと気になりますね。「$X = 2$$Y =4$が独立」というのは意味的にどういうことなんでしょう。

$X = 2$$Y =4$が独立」ということは「$Y =4$$X = 2$と無関係」つまり「$X = 2$が起きても起きなくても$Y =4$が起きる確率は変わらない」ということと解釈して良いです。

これを数式の方へ近付けていくと「『$Y =4$となる確率』と『$X = 2$という条件のもとで$Y =4$となる確率』が等しい」ということになります。数式で表すと

\begin{displaymath}P(Y=4) = P_{X=2}(Y=4)\end{displaymath}

です。計算すると

\begin{eqnarray*}P(Y=4) & = & P_{X=2}(Y=4) \\\frac{4+b}{50} & = & \frac{b}{10} \\4 + b & = & 5b \\b & = & 1\end{eqnarray*}

と前と同じ値が求まります。

さて、意味的には$P(Y=4)=P_{X=2}(Y=4)$であるものを、どうして$P(X=2 \capY=4) = P(X=2)P(Y=4)$を用いて求めることができるかというと、この二つは同値だからです。

このことは$P_{X=2}(Y=4)$の定義が${\displaystyle \frac{P(X = 2 \capY=4)}{P(X =2)}}$であることを頭に入れて

\begin{eqnarray*}& & P(X=2 \cap Y=4) = P(X=2)P(Y=4) \\& \Longleftrightarrow & P(Y=4) = \frac{P(X=2 \cap Y=4)}{P(X = 2)} = P_{X = 2}P(Y=4)\end{eqnarray*}

と変形すれば解ります。

問題解くときには$P(X=2 \capY=4) = P(X=2)P(Y=4)$を用いて計算するんですが、その裏に$P_{X=2}(Y=4) = P(Y=4)$というのがあるということを、押さえておいた方が良いでしょう。


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最終更新日 : 2002年3月11日(月)
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