数学II・数学B 第5問

この問題素晴らしいですね。つまらない計算が排除されてて、確率についての本質的な部分だけが問われてます。指数対数の問題とは大違い。

第5問 (選択問題)(配点 20)
1枚の硬貨を3回投げ,表が出た回数を$X$とする。次にさいころを$X$回振る。(たとえば$X=2$ならば,さいころを2回振ることになる。)そうして,1または2の目が出た回数を$Y$とする。ただし,$X=0$の場合は,$Y=0$ときめる。

コインとサイコロという確率界の二大スターが登場する試行です。それだけに計算はややこしそう。
実際ややこしいんですが、本質的なところを理解しているところを示せば、あとは出題者側が面倒見てくれてます。この辺が素晴らしい。見てきましょう。

(1)$X=2$のとき,$Y$の取り得る値は,[ア]通りである。

$X=2$なのでサイコロを2回投げます。すると$Y$$Y=0,\;\;\;1,\;\;\;2$のいずれかなので、取り得る値は3通りです。
答 [ア] = 3

(2)$X=2$となる確率は${\displaystyle \frac{\mbox{[イ]}}{\mbox{[ウ]}}}$である。
$X=2$という条件のもとで,$Y=1$となる条件つき確率は${\displaystyle \frac{\mbox{[エ]}}{\mbox{[オ]}}}$である。
したがって,$X=2$$Y=1$となる確率は${\displaystyle \frac{\mbox{[カ]}}{\mbox{[キ]}}}$である。

何段階かに分けて$X=2$$Y=1$となる確率を求めようと言ってます。誘導に乗ってきましょう。
まず$X=2$となる確率です。硬貨を3回投げたとき取り得る全ての場合の数は$2^3 = 8$通りで、そのうち$X=2$となるのは(表,表,裏)、(表,裏,表)、(裏,表,表)の3通りです。したがって求める確率は${\displaystyle \frac{3}{8}}$です。
\begin{displaymath}\frac{\mbox{[イ]}}{\mbox{[ウ]}} = \frac{3}{8} \end{displaymath}
これは二項分布の公式を用いて
\begin{eqnarray*}\mbox{}_3C_2\left(\frac{1}{2}\right)^2 \left(\frac{1}{2}\righ......{2}\right)^3 \\& = & 3\cdot\frac{1}{8} \\& = & \frac{3}{8}\end{eqnarray*}
とやってもいいですね。
次に、$X=2$という条件のもとで$Y=1$となる条件つき確率を求めます。学術的な言葉遣いがされてますが、要するにサイコロを2回投げたとき、1、2の目が1回だけ出る確率を求めれば良いです。
\begin{eqnarray*}\mbox{(求める確率)} & = & \mbox{(1回目に1,2が出て、2回目は1,2......\frac{2}{3} + \frac{2}{3}\cdot\frac{1}{3} \\& = & \frac{4}{9}\end{eqnarray*}
となります。
\begin{displaymath}\frac{\mbox{[エ]}}{\mbox{[オ]}} = \frac{4}{9} \end{displaymath}
これで準備が整いました。$X=2$$Y=1$となる確率は$(X=2\mbox{となる確率})\times(X=2\mbox{という条件のもとで}Y=1\mbox{となる確率})$なので
\begin{eqnarray*}& & (X=2\mbox{となる確率})\times(X=2\mbox{という条件のもとで}...... \\& = & \frac{3}{8}\times\frac{4}{9} \\& = & \frac{1}{6}\end{eqnarray*}
です。
\begin{displaymath}\frac{\mbox{[カ]}}{\mbox{[キ]}} = \frac{1}{6} \end{displaymath}

同様にして$X=1$$Y=1$となる確率は${\displaystyle \frac{1}{8}}$であり$X=3$$Y=1$となる確率は${\displaystyle \frac{1}{18}}$である。
したがって,$Y=1$となる確率は${\displaystyle \frac{\mbox{[クケ]}}{\mbox{[コサ]}}}$である。

「同様にして」と$X=1$$Y=1$となる確率と$X=3$$Y=1$となる確率を与えてくれるところが潔いです。「値の求め方が解るかどうかは数学の力だけど、実際の値を求めるのは算数の力だろ」という出題者の見識の高さが伺えます。
さて、$Y=1$となる確率を求めよと言われてるので、出題者の見識に答えるべく、ここで数学の力を見せましょう。
\begin{eqnarray*}(Y=1\mbox{となる確率}) & = & (X=1\mbox{、}Y=1\mbox{となる確率}......なる確率}) \\& & \mbox{} + (X=3\mbox{、}Y=1\mbox{となる確率})\end{eqnarray*}
であることが解れば数学の力があるといえます。ちなみに$X=0$$Y=1$となることはないので省いてます。あとは計算
\begin{eqnarray*}(Y=1\mbox{となる確率}) & = & \frac{1}{8} + \frac{1}{6} + \fra......rac{1}{18} \\& = & \frac{21 + 4}{72} \\& = & \frac{25}{72}\end{eqnarray*}
\begin{displaymath}\frac{\mbox{[クケ]}}{\mbox{[コサ]}} = \frac{25}{72} \end{displaymath}

(3) (2)と同様に計算すると$Y=2$となる確率は${\displaystyle \frac{5}{72}}$であり$Y=3$となる確率は${\displaystyle \frac{1}{216}}$である。
したがって,$Y=0$となる確率は${\displaystyle \frac{\mbox{[シスセ]}}{\mbox{[ソタチ]}}}$である。

またまた「同様に計算すると」で$Y=2$となる確率、$Y=3$となる確率を与えてくれてます。ここでは「私は、確率の和は1になることを知っています」を示せば、出題者の見識に応えることができます。
$Y$は0、1、2、3のいずれかの値を取るので
\begin{displaymath}(Y=0\mbox{の確率}) + (Y=1\mbox{の確率}) + (Y=2\mbox{の確率}) + (Y=3\mbox{の確率}) = 1\end{displaymath}
が言えます。
したがって$Y=0$の確率は
\begin{eqnarray*}(Y=0\mbox{の確率}) & = & 1 - \{(Y=1\mbox{の確率}) + (Y=2\mbox......{216} \\& = & \frac{216 - 91}{216} \\& = & \frac{125}{216}\end{eqnarray*}
です。
${\displaystyle \frac{\mbox{[シスセ]}}{\mbox{[ソタチ]}} = \frac{125}{216}}$

(4)$Y$の平均(期待値)は${\displaystyle \frac{\mbox{[ツ]}}{\mbox{[テ]}}}$である。

これは「期待値の定義知ってる?」と訊かれてるだけなのでサラッと流しましょう。
\begin{eqnarray*}(Y\mbox{の期待値}) & = & 0\cdot(Y=0\mbox{の確率}) + 1\cdot(Y=......{105 + 3}{216} \\& = & \frac{108}{216} \\& = & \frac{1}{2}\end{eqnarray*}
${\displaystyle \frac{\mbox{[ツ]}}{\mbox{[テ]}} = \frac{1}{2}}$

(5)$Y=0$という条件のもとで,$X=2$となる条件つき確率は${\displaystyle \frac{\mbox{[トナ]}}{\mbox{[ニヌネ]}}}$である。

あとで行なう試行$Y$の方を条件にして「$Y=0$という条件のもとで」というのが凄いですね。
でも、ちょっと考えると実は単純なことを聞かれていて
\begin{displaymath}\frac{(X=2,\;\;\;Y=0\mbox{となる確率})}{(Y=0\mbox{となる確率})} \end{displaymath}
を求めれば良いです。
$Y=0$となる確率は(3)で求めたので、$X=2$$Y=0$となる確率を考えます。これは(2)と同様に考えればいいですね。
まず$X=2$という条件のもとで$Y=0$となる確率は、サイコロを二回振って二回とも1、2が出ない確率だから
\begin{displaymath}\frac{4}{6}\cdot\frac{4}{6} = \frac{2}{3}\cdot\frac{2}{3} = \frac{4}{9} \end{displaymath}
です。
また$X=2$となる確率は${\displaystyle \frac{3}{8}}$だから、$X=2$$Y=0$となる確率は
\begin{displaymath}\frac{3}{8}\cdot\frac{4}{9} = \frac{1}{6} \end{displaymath}
となります。したがって求める確率は
\begin{eqnarray*}\frac{X=2,\;\;\;Y=0\mbox{となる確率}}{Y=0\mbox{となる確率}} & ...... & = & \frac{1}{6}\cdot\frac{216}{125} \\& = & \frac{36}{125}\end{eqnarray*}
です。
${\displaystyle \frac{\mbox{[トナ]}}{\mbox{[ニヌネ]}} = \frac{36}{125}}$
いい問題でしたね。これからも、こういう問題が増えて欲しいです。

せぎてつ伝言板
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最終更新日 : 2001年2月25日(日)
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