数学II・数学B 第4問

うーん。正解より別解の解説のほうが長くなってしまった。まあ何事も寄り道のほうが面白いということで。

第4問 (選択問題)(配点 20)
(1) 方程式 $z^3 = 2 + 2i$……… [1]を解こう。
複素数$2+2i$を極形式で表すと$2+2i = \mbox{[ア]}\sqrt{\mbox{[イ]}}(\cos\mbox{[ウエ]°} + i\sin\mbox{[ウエ]°)}$となる。

まずは小手試し。図を書いて
\begin{displaymath}2+2i = 2\sqrt{2}(\cos 45\mbox{°} + i\sin45\mbox{°}) \end{displaymath}
となります。
$2+2i = \mbox{[ア]}\sqrt{\mbox{[イ]}}(\cos\mbox{[ウエ]°} + i\sin\mbox{[ウエ]°)} = 2\sqrt{2}(\cos 45\mbox{°} + i\sin45\mbox{°})$

\begin{displaymath}z = r(\cos\theta + i\sin\theta) \end{displaymath}
とおき、[1]を満たす$r$$\theta$($r>0$$0\mbox{°}\le\theta < 360\mbox{°}$)を求めると$r = \sqrt{\mbox{[オ]}}\;\;\;\;\;\;\;\theta = \mbox{[カキ]°},\;\;\mbox{[クケコ]°},\;\;255\mbox{°}$となる。

$z = r(\cos\theta + i\sin\theta)$とおけば
\begin{displaymath}z^3 = r^3(\cos 3\theta + i\sin 3\theta)\end{displaymath}
となるのは解りますね。これと
\begin{displaymath}2+2i = 2\sqrt{2}(\cos 45\mbox{°} + i\sin45\mbox{°}) \end{displaymath}
をじーっと見比べると[1]の解は
\begin{eqnarray*}r^3 & = & 2\sqrt{2} \\3\theta & = & 45\mbox{°} + n\times 360\mbox{°} \;\;\;(n = 0, 1,\cdots)\end{eqnarray*}
を満たす$r$$\theta$によって表されることが解ります。
これを解いてくわけですが$r = \sqrt{2}$はすぐ解ります。
$r = \sqrt{\mbox{[オ]}} = \sqrt{2}$
$r^3 = 2\sqrt{2}$の解が$\sqrt{2}$だと気付かないという方は、解いている問題数が不足してます。多くの問題を解いていくと、数に対する感覚が育ってきて、こういうのはすぐ解るようになります。精進しましょう。
続いて$\theta$を求めます。
いま$0\mbox{°}\le\theta < 360\mbox{°}$だから$0\mbox{°}\le 3\theta < 1080\mbox{°}$です。この範囲で$3\theta = 45\mbox{°} + n\times 360\mbox{°} \;\;\;(n = 0, 1,\cdots)$を満たすのは
\begin{displaymath}3\theta = 45\mbox{°},\;\;405\mbox{°},\;\;765\mbox{°} \end{displaymath}
です。この順番に$n = 0,\;\;1,\;\;2$に対応します。確認しといて下さい。
求められているのは$\theta$なので、それぞれ3で割って
\begin{displaymath}\theta = 15\mbox{°},\;\;135\mbox{°},\;\;255\mbox{°} \end{displaymath}
となります。
$\theta = \mbox{[カキ]°},\;\;\mbox{[クケコ]°},\;\;255\mbox{°} = 15\mbox{°},\;\;135\mbox{°},\;\;255\mbox{°}$

したがって,複素数平面上の第2象限にある[1]の解は$-\mbox{[サ]}+i$である。

[1]の解のうち、第2象限にくるのは$\theta = 135\mbox{°}$のときです。その値は
\begin{displaymath}\sqrt{2}(\cos 135\mbox{°} + i\sin 135\mbox{°}) = \sqrt{2}(-\frac{1}{\sqrt{2}} + i\frac{1}{\sqrt{2}}) = -1 + i \end{displaymath}
です。複素平面上に実際に書いてみれば計算しなくても解りますね。
$z = -\mbox{[サ]}+i = -1 + i$

(2) 次に方程式 $z^6 - 4z^3 + 8 = 0$……… [2] の解について考えよう。[2]は$(z^3 - 2)^2 = -\mbox{[シ]}$,すなわち$z^3 = 2\pm\mbox{[ス]}i$となるから,(1)と同様に考えると,第2象限にある[2]の解は(1)で求めた$-\mbox{[サ]}+i$$\frac{\mbox{[セ]}- \sqrt{\mbox{[ソ]}}}{\mbox{[タ]}} + \frac{\mbox{[チ]} + \sqrt{\mbox{[ツ]}}}{\mbox{[テ]}}i$の2個であり,他の解は第1象限に1個,第3象限に[ ト ]個,第4象限に[ ナ ]個存在する。
注 この問題において複素平面の象限とは,実軸をx軸,虚軸をy軸とした座標平面における象限のことをいう。

ついに6次方程式まで登場してきました。人類は特殊な形でないと6次方程式は解けません。ここで与えられてる$z^6 - 4z^3 - 8 = 0$はどうもその特殊な形で解けるようです。
「まずは式変形によって3次方程式の問題に帰着させようよ」と設問がいってます。素直に従いましょう。
\begin{eqnarray*}z^6 - 4z^3 + 8 & = & (z^3 - 2)^2 - 4 + 8 \\& = & (z^3 - 2)^2 + 4 \\(z^3 - 2)^2 & = & -4\end{eqnarray*}
$(z^3 - 2)^2 = -\mbox{[シ]} = -4$
式変形を続けると
\begin{eqnarray*}(z^3 - 2)^2 & = & -4 \\z^3 - 2 & = & \pm 2i \\z^3 & = & 2 \pm 2i\end{eqnarray*}
が解ります。
$z^3 = 2\pm\mbox{[ス]}i = 2\pm 2i$
ここまでで[2]の解は$z^3 = 2 + 2i$の解と$z^3 = 2-2i$の解だということが解りました。
$z^3 = 2 + 2i$の方は(1)で解いてるので$z^3 = 2-2i$の方を考えます。私は(1)でやったのと同様の方法で解くのが簡単だと思いました。
図を書いて
2-2iを複素平面上にプロットした図
\begin{displaymath}2-2i = 2\sqrt{2}(\cos 315\mbox{°} + i\sin 315\mbox{°}) \end{displaymath}
が解ります。
$z^3 = 2-2i$を満たす$z$$z = r(\cos\theta + i\sin\theta)$とおくと、(1)と同様にして$r = \sqrt{2}$は直ぐに解って、$\theta$については
\begin{displaymath}3\theta = 315\mbox{°}+ n\times 360\mbox{°}\;\;\;(n=0,1,\cdots) \end{displaymath}
となります。$\theta$の範囲は(1)と同様なので、これを満たすのは
\begin{eqnarray*}3\theta & = & 315\mbox{°},\;\;675\mbox{°},\;\;1035\mbox{°} \\\theta & = & 105\mbox{°},\;\;225\mbox{°},\;\;345\mbox{°}\end{eqnarray*}
です。
これで[2]の解がすべて求まりました。各々の解がどの象限にあるのか聞かれてるので、複素平面上に表してみましょう。図のようになります。
[解を複素平面上にプロットした図]
第2象限にあるのは(1)で求めたものと、$\theta = 105\mbox{°}$のものです。その値は
\begin{displaymath}\sqrt{2}(\cos 105\mbox{°} + i\sin 105\mbox{°}) \end{displaymath}
です。更に計算を進めるには$\cos 105\mbox{°}$$\sin 105\mbox{°}$が必要なので三角関数の加法法則を使って
\begin{eqnarray*}\cos 105\mbox{°} & = & \cos(60\mbox{°} + 45\mbox{°}) \\......cdot\frac{1}{\sqrt{2}} \\& = & \frac{1 - \sqrt{3}}{2\sqrt{2}}\end{eqnarray*}
\begin{eqnarray*}\sin 105\mbox{°} & = & \sin(60\mbox{°} + 45\mbox{°}) \\......cdot\frac{1}{\sqrt{2}} \\& = & \frac{\sqrt{3} + 1}{2\sqrt{2}}\end{eqnarray*}
と求めときます。これで求める値は
\begin{eqnarray*}\sqrt{2}(\cos 105\mbox{°} + i\sin 105\mbox{°}) & = &\sqrt......}}) \\& = & \frac{1 -\sqrt{3}}{2} + \frac{1 + \sqrt{3}}{2}i\end{eqnarray*}
と解ります。
$\frac{\mbox{[セ]}- \sqrt{\mbox{[ソ]}}}{\mbox{[タ]}} + \frac{\mbox{[チ]} + \sqrt......\displaystyle \frac{1 - \sqrt{3}}{2}} + {\displaystyle \frac{1 + \sqrt{3}}{2}}i$
で複素平面上に表した解を見つめてみると、他の解は第1象限に1個,第3象限に2個,第4象限に1個存在することが解ります。
答 [ ト ] = 2、[ ナ ] = 1
う〜ん。$105\mbox{°} = 60\mbox{°} + 45\mbox{°}$に気付けば、まあまあの難易度じゃないですか。受験生だったらすぐに気付くんでしょうね。
しかし頭がサビついていた私は何と$105\mbox{°} = 90\mbox{°} + 15\mbox{°}$としてしまって、とても凶悪な問題にしてしまいました。間抜けです。
この解き方でも腕力があると解けてしまいます。やってみましょうか。
\begin{eqnarray*}\cos 105\mbox{°} & = & \cos(90\mbox{°} + 15\mbox{°}) \\...... - \sin 90\mbox{°}\sin 15\mbox{°} \\& = & -\sin 15\mbox{°}\end{eqnarray*}
\begin{eqnarray*}\sin 105\mbox{°} & = & \sin(90\mbox{°} + 15\mbox{°}) \\......} + \cos 90\mbox{°}\sin 15\mbox{°} \\& = & \cos 15\mbox{°}\end{eqnarray*}
まず、ここまでやって次に$\sin 15\mbox{°}$$\cos 15\mbox{°}$を求めます。ここが凶悪ですね。
$15\mbox{°} = \frac{30}{2}\mbox{°}$なので半角公式を用いるわけですが、そんなの覚えてますか?
私は当然のように忘れてたので、まずそれを導きました。$\cos$の倍角公式を逆に使うと半角公式が導き出せます。まずは$\sin$の半角公式。
\begin{eqnarray*}\cos 2\alpha & = & \cos(\alpha + \alpha) \\& = & \cos\alph......lpha}{2} \\\sin^2\frac{\beta}{2} & = & \frac{1- \cos\beta}{2}\end{eqnarray*}
$\sin$の半角公式も同様に
\begin{eqnarray*}\cos 2\alpha & = & \cos^2\alpha - \sin^2\alpha \\& = & \co......pha}{2} \\\cos^2\frac{\beta}{2} & = & \frac{1 + \cos\beta}{2}\end{eqnarray*}
です。これで$\sin 15\mbox{°}$$\cos 15\mbox{°}$を求める準備ができて
\begin{eqnarray*}\sin^2 15\mbox{°} & = & \sin^2\frac{30\mbox{°}}{2} \\& =......rac{1 - \frac{\sqrt{3}}{2}}{2} \\& = & \frac{2 - \sqrt{3}}{4}\end{eqnarray*}
までいけます。ここで${\displaystyle \frac{2 - \sqrt{3}}{4}}$の平方根を求めるのが大変でウンウン唸ります。
そのうち$(1 - \sqrt{3})^2 = 4 - 2\sqrt{3}$に気付いて「あっ」となって
\begin{eqnarray*}\sin^2 15\mbox{°} & = & \frac{2 - \sqrt{3}}{4} \\& = & \f......{3}}{8} \\& = & \left(\frac{1 - \sqrt{3}}{2\sqrt{2}}\right)^2\end{eqnarray*}
$\sin 15\mbox{°} > 0$から
\begin{displaymath}\sin 15\mbox{°} = -\frac{1 - \sqrt{3}}{2\sqrt{2}} \end{displaymath}
が求まります。
この調子で$\cos 15\mbox{°}$を求めていくと
\begin{eqnarray*}\cos^2 15\mbox{°} & = & \cos^2\frac{30\mbox{°}}{2} \\& =......ht)^2 \\\cos 15\mbox{°} & = & \frac{1 + \sqrt{3}}{2\sqrt{2}}\end{eqnarray*}
です。最後の符号を決めるところでは$\cos 15\mbox{°} > 0$を用いてます。
「ゼエゼエ」と息切れしてきました。一体、何してたんでしたっけ?そうだ!$\sqrt{2}(\cos 105\mbox{°} + i\sin 105\mbox{°})$を求めてたんですね。
ここまでの努力の跡を振り返って
\begin{eqnarray*}\sqrt{2}(\cos 105\mbox{°} + i\sin 105\mbox{°}) & = & \sqrt{2......ht\} \\& = & \frac{1 - \sqrt{3}}{2} + \frac{1 + \sqrt{3}}{2}i\end{eqnarray*}
となって値が求まります。
当然ですが$105\mbox{°} = 60\mbox{°} + 45\mbox{°}$としたのと同じ値です。
さて、万が一みなさんが$105\mbox{°} = 90\mbox{°} + 15\mbox{°}$と筋の悪い考え方をしてしまったらどうするのが良いでしょう?答えは「途中で気が付くべき」です。
特に、いま解いてるのはセンター試験です。求値問題にここまで苛酷な要求がされるはずがありません。どこかで、わざわざ問題を難しくしてしまっている可能性が高い。解答のステップで変なことをしていないか冷静に考えるようにしましょう。
まあでも力任せに解いて「あーこう考えてる間に計算したらエエンじゃ!」と言う腕力自慢の受験生も個性的で良いと思います。点数は伸びないと思うけど。
さて別解ついでに。共役複素数について触れときます。
$z^3 = 2-2i$の解を求めるときに真面目に計算しましたが、もっと簡単に求める方法があるようです。Loving Math見て知りました。
$z^3 = 2 + 2i$の解と$z^3 = 2-2i$の解を求めたんですが、ここで$2+2i$$2 - 2i$が共役複素数であるのがミソです。
$z^3 = 2 + 2i$の解を$z_1$$z_2$$z_3$とすると、実は$\overline{z_1}$$\overline{z_2}$$\overline{z_3}$$z^3 = 2-2i$の解です。ここでオーバーラインは共役を表してます(以下も同様)。
共役複素数については一般に$z^n = a$ならば$(\overline{z})^n = \overline{a}$が、すなわち$\overline{z^n} = (\overline{z})^n$が成り立ちます。
何をどうやっても証明できますが、ここは極形式でやってみましょう。
$z = r(\cos\theta + i\sin\theta)$とおくと
\begin{displaymath}z^n = r^n(\cos n\theta + i\sin n\theta) \end{displaymath}
となり、このとき$\overline{z} = r(\cos\theta - i\sin\theta) = r\{\cos(-\theta) + i\sin(-\theta)\}$だから
\begin{displaymath}(\overline{z})^n = r^n\{\cos(-n\theta) + i\sin(-n\theta)\} = r^n(\cos n\theta -i\sin n\theta) = \overline{z^n} \end{displaymath}
が言える。
さて元の問題に立ち帰ります。
$z^3 = 2 + 2i$が言えるなら$(\overline{z})^3 = 2 - 2i$が言えます。
で、$z^3 = 2 + 2i$を満たすのは$r = \sqrt{2}$$\theta = 15\mbox{°},\;\;135\mbox{°},\;\;255\mbox{°}$なので、$z^3 = 2-2i$を満たすのは、その共役複素数$r = \sqrt{2}$$\theta = -15\mbox{°},\;\;-135\mbox{°},\;\;-255\mbox{°}$です。
こうやれば$z^3 = 2-2i$の解は一瞬で解りますね。後は同じ流れで、第2象限にくるのは$\theta = -255\mbox{°}$のときと解るので、その値を計算します。
しかし、今の私は試験場でも$z = r(\cos\theta + i\sin\theta)$とおいてまともに解く方を選択します。何故なら今の私には共役を使いこなす力がないからです。
私の事情を述べましたが、一般には共役を用いる解法の方が洗練されてて良い解法です。これを使えるようになるのを目指すべきです。私はいまさら共役を使いこなす必要はないですが、受験生の方は共役の基本を何回も何回も繰り返し押さえて、体に馴染ませるべきでしょう。
でも試験までに馴染ませることができなかったら。試験場ではそのとき持ってる力で問題を解くしかないし、どんな解法で解いても良いので、ダサかろうが何だろうが、自分にとって一番良い解法を選択するのが良いでしょう。

せぎてつ伝言板
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最終更新日 : 2001年1月29日(月)
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