数学II・数学B 第2問 [1]

曲線と接線で囲まれる部分の面積を求める問題。
三次曲線のものが良く出題されますが、ここでは二次曲線です。その分、面積計算にちょっとヒネリが。

第2問 (必答問題)(配点 30)
[1] 座標平面において放物線$y=x^2$$C$とする。第1象限の点$P(a, a^2)$における$C$の接線 $l$$y$軸の交点$Q$の座標は
\begin{displaymath}(0, \mbox{[ ア ]}a^{\mbox{[ イ ]}})\end{displaymath}
である。

まずは図を書きましょう。こうなります。
放物線と接線
$Q$の値を求めるには、接線$l$の方程式を求めて$x = 0$を代入すれば良いですね。
一般に曲線$f(x)$上の点$(a, f(a))$における接線の方程式は
\begin{displaymath}y - f(a) = f'(a)(x - a)\end{displaymath}
なので、この式で$f(x) = x^2$とすれば$l$の方程式になります。$f'(x) = 2x$だから$l$の方程式は
\begin{eqnarray*}y - a^2 & = & 2a(x - a) \\& = & 2ax - 2a^2 \\y & = & 2ax - 2a^2 + a^2 \\& = & 2ax - a^2\end{eqnarray*}
です。これに$x = 0$を代入すると$y = -a^2$となるので、求める点$Q$の座標は$Q(0, -a^2)$です。
$(0, \mbox{[ ア ]}a^{\mbox{[ イ ]}})$ = $(0, -a^2)$

$l$$y$軸のなす角が$30\mbox{゜}$となるのは${\displaystyle a = \frac{\sqrt{\mbox{[ ウ ]}}}{[エ ]}}$のときである。このとき線分$PQ$の長さは$\sqrt{\mbox{[ オ ]}}$であり、

図を見て考えましょうという問題がきました。$P$から$y$軸に下ろした垂線の足を$H$とおいて$\triangle PQH$に着目すれば答はすぐ解ります。
接線とy軸のなす角
角の大きさが$30\mbox{°}$$90\mbox{°}$$60\mbox{°}$の三角形の三辺の此が$1:2:\sqrt{3}$になることを御存知であれば
三角形PQH 直角三角形の辺の比
\begin{displaymath}PH:QH = a:2a^2 = 1:\sqrt{3}\end{displaymath}
が成り立つとき$l$$y$軸のなす角が$30\mbox{°}$になることが解るでしょう。
これを解くと
\begin{eqnarray*}a:2a^2 & = & 1:\sqrt{3} \\2a^2 & = & \sqrt{3}\, a \\a & = & \frac{\sqrt{3}}{2}\end{eqnarray*}
$a$が求まります。
${\displaystyle a = \frac{\sqrt{\mbox{[ ウ ]}}}{\mbox{[ エ ]}} =\frac{\sqrt{3}}{2}}$
同様に三辺の比から$PH:PQ = 1:2$なので
\begin{displaymath}PQ = 2PH = 2a = \sqrt{3}\end{displaymath}
です。
$\sqrt{\mbox{[ オ ]}} = \sqrt{3}$
まあ三辺の比を知らなくても$\triangle PQH$に着目すれば、${\displaystyle \frac{a}{2a^2} = \tan 30\mbox{°}}$から${\displaystyle a =\frac{\sqrt{3}}{2}}$が、${\displaystyle PQ\cdot\cos 30\mbox{°} = 2a^2 = \frac{3}{2}}$から$PQ= \sqrt{3}$が求まります。

$Q$を中心とし線分$PQ$を半径とする円と放物線$C$とで囲まれてできる二つの図形のうち小さい方の面積は${\displaystyle \frac{\pi}{\mbox{[ カ ]}} -\frac{\sqrt{\mbox{[ キ ]}}}{\mbox{[ ク ]}}}$である。

小手試しが終わって本題がきました。下図の斜線部分の面積を求めよと言ってます(説明のため$y$軸と円の交点を$R$とおきました)。
求める面積
図形が$y$軸に対して対称なので、半分の面積を求めて2倍すれば良いでしょう。下図の面積を求めて2倍することにします。
対称性の利用
「えーと。円の式は$x^2 + (y + a^2)^2 = 3$だから、ここから$y$を引っ張り出して積分すれば・・・」と考えたアナタ。素敵です。でもハマッテます。
図の面積は$\mbox{(扇形$PQR$の面積)}-\mbox{($C$と$l$とで囲まれた部分の面積)}$で求めることができます。順番にやってきましょう。
扇形PQR
\begin{eqnarray*}\mbox{(扇形$PQR$の面積)} & = &\frac{30\mbox{°}}{360\mbox{°}......(\sqrt{3})^2 \\& = & \frac{3\pi}{12} \\& = & \frac{\pi}{4}\end{eqnarray*}
Cとlとで囲まれた部分
\begin{eqnarray*}\mbox{($C$と$l$とで囲まれた部分の面積)} & = & \int_0^a \{x^2 ......}\left(\frac{\sqrt{3}}{2}\right)^3 \\& = & \frac{\sqrt{3}}{8}\end{eqnarray*}
なので設問で問われている面積を$S$とおくと
\begin{eqnarray*}\frac{S}{2} & = & \mbox{(扇形$PQR$の面積)} - \mbox{($C$と$l$.....sqrt{3}}{8}\right) \\& = & \frac{\pi}{2} - \frac{\sqrt{3}}{4}\end{eqnarray*}
です。
${\displaystyle \frac{\pi}{\mbox{[ カ ]}} -\frac{\sqrt{\mbox{[ キ]}}}{\mbox{[ ク ]}} = \frac{\pi}{2} - \frac{\sqrt{3}}{4}}$
さて、解答終わりました。あとはちょっと遊びの時間。
「えーと。円の式は$x^2 + (y + a^2)^2 = 3$だから、ここから$y$を引っ張り出して積分すれば・・・」という考えを押し進めるとどうなるのか?やってみましょう。
まず$y$を引っ張り出します。
\begin{eqnarray*}x^2 + (y + a^2)^2 & = & 3 \\(y + a^2)^2 & = & 3 - x^2 \\y + a^2 & = & \sqrt{3 - x^2} \\y & = & \sqrt{3 - x^2} - a^2\end{eqnarray*}
$\sqrt{3 - x^2}$の符号で正をとったので円の上半分を表す式になってます。これを積分した
\begin{displaymath}\int_0^a (\sqrt{3 - x^2} - a^2)dx\end{displaymath}
が下図の面積を表すはずです。
円とy軸で囲まれた部分
でも${\displaystyle \int \sqrt{3 - x^2}\, dx}$が計算できませんね。うーん困った。どうしよう。しょうがないので本屋さんに走って「岩波 数学公式 I 微分積分・平面曲線」をパラパラとめくります。すると「2次無理函数の不定積分」というところに
\begin{displaymath}\int \sqrt{a^2 - x^2}\, dx = \frac{1}{2}\left[ x\sqrt{a^2 - x^2} + a^2\arcsin\frac{x}{a}\right]\end{displaymath}
が載ってます。こんな積分導けっこないですね。$\arcsin$というのはオマセさんなら御存知のように$\sin$の逆関数です。この等式が本当に成り立ってるのか確かめたい方は右辺を微分してみましょう。そのときは${\displaystyle \frac{d}{dx}\,\arcsin x =\frac{1}{\sqrt{1 - x^2}}}$をお使い下さい。
とまあ本屋に走らないと積分ができないし、試験会場から本屋さんに走ったら試験放棄なので、$y$を引っ張り出して計算するという方針はハマリです。でも折角本屋まで行ったんだから計算続けてみましょうか。$\arcsin$の角度はラジアンで表すことに注意しましょう。
\begin{eqnarray*}\int_0^a \sqrt{3 - x^2}\, dx & = & \frac{1}{2}\left[ x\sqrt{3......c{\pi}{2} \right) \\& = & \frac{\pi}{4} + \frac{3\sqrt{3}}{8}\end{eqnarray*}
なので
\begin{eqnarray*}\int_0^a (\sqrt{3 - x^2} - a^2)dx & = & \int_0^a\sqrt{3 - x^2......qrt{3}}{8}\right) - \frac{3\sqrt{3}}{8} \\& = & \frac{\pi}{4}\end{eqnarray*}
となります。もう積分計算だけで大変。つくづくハマッテます。
この値から、下図の放物線と$x$軸で囲まれた部分の面積を引けば設問の面積が求まります。
放物線とy軸で囲まれた部分の面積
したがって求める面積を$S$とおくと
\begin{displaymath}\frac{S}{2} = \frac{\pi}{4} - \int_0^a x^2\,dx\end{displaymath}
で、
\begin{eqnarray*}\int_0^a x^2\, dx & = & \left[ \frac{1}{3}x^3 \right]_0^a \\ ......frac{1}{3}\cdot\frac{3\sqrt{3}}{8} \\& = & \frac{\sqrt{3}}{8}\end{eqnarray*}
なので、
\begin{eqnarray*}\frac{S}{2} & = & \frac{\pi}{4} - \frac{\sqrt{3}}{8} \\S &......sqrt{3}}{8}\right) \\& = & \frac{\pi}{2} - \frac{\sqrt{3}}{4}\end{eqnarray*}
となります。同じ値が出てきましたね。ふー、やれやれ。
ところで
円とy軸で囲まれた部分
の部分の面積の値\begin{displaymath}\int_0^a (\sqrt{3 - x^2} - a^2)dx = \frac{\pi}{4}\end{displaymath}に見覚えありませんか。そう。扇形$PQR$の値と一緒です。「あれー偶然だねえ」なんて待ち伏せしてた人みたいなことを言ってはいけません。偶然でないことは
合同な三角形
この図を睨めば解るでしょうか。仰々しい積分はなんだったんだという気分ですね。
これに気付けば最初から$\mbox{(扇形$PQR$の面積)}-\mbox{($C$と$y軸$とで囲まれた部分の面積)}$とやっても面積は求まります。
図を眺めて足し算・引き算しても、数式を引っ張り出してガリガリ積分しても、同じ値が求まります。解法には色々あるということです。問題に応じて適当なのを選ぶと良いでしょう。この問題では圧倒的に図を眺める方が良かったですね。

せぎてつ伝言板
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最終更新日 : 2001年10月27日(土)
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