数学I・数学A 第2問 [2]

正弦定理・余弦定理を使う素直な問題と思いきや、最後でちょっと詰まります。

[2] 図のように交わる2円$O$$O'$がある。この図において$A$$B$は2円の交点,$C$は直線$OO'$と円$O'$の交点,$D$は直線$CB$と円$O$の交点である。
さらに$\sin\angle ABC = {\displaystyle \frac{2\sqrt{5}}{5}}$$AB=3$$BD=\sqrt{5}$とする。このとき
\begin{displaymath}\cos\angle ABD = \frac{\mbox{[ケ]}\sqrt{\mbox{[コ]}}}{\mbox{[サ]}}\mbox{,}\;\;\; AD = \mbox{{[シ]}}\sqrt{\mbox{[ス]}}\end{displaymath}
となり、円$O$の半径$OA$$\frac{\mbox{[セ]}}{\mbox{[ソ]}}$である。

何と問題文中に図が書かれてます。親切ですね。
と思ったんですが、どうもこの問題「図のように交わる」と図を提示して限定しないと色んな値が一意に定まらないようです。
まあ事情はともあれ図があるのは有難いことなので、与えられた条件$\sin\angle ABC = {\displaystyle \frac{2\sqrt{5}}{5}}$$AB=3$$BD=\sqrt{5}$を図に書き込んできましょう。
まずは$\cos\angle ABD$を求めよとのこと。直接は求まらないので先に$\sin\angle ABD$を求めます。
図を見れば解るように
\begin{eqnarray*}\sin\angle ABD & = & \sin(\pi - \angle ABC) \\& = & \sin\angle ABC \\& = & \frac{2\sqrt{5}}{5}\end{eqnarray*}
です。したがって
\begin{eqnarray*}\cos^2\angle ABD & = & 1 - \sin^2\angle ABD \\& = & 1 - \l...... 5}{25} \\& = & 1 - \frac{20}{25} \\& = & \frac{5}{25} \\\end{eqnarray*}
とここまではきます。何にも考えずに$\cos\angle ABD = {\displaystyle \frac{\sqrt{5}}{5}}$とすると解答欄に合わず深く考えてしまいます(実は私がそうでした)。
でもちょっと冷静さを取り戻すと、
\begin{displaymath}\cos\angle ABD = \pm\frac{\sqrt{5}}{5}\end{displaymath}
なので、どうも答えは${\displaystyle \frac{-\sqrt{5}}{5}}$だなという感じです。
しかし、解答欄から気付くというのはセンター試験ならではでちょっと邪道。もうすこし正道に近付くためには図を見ます。
図を見ると$\angle ABD$が鈍角であることが解ります。そして鈍角の$\cos$は負の値を取ることに思いが至れば、自信を持って$\cos\angle ABD ={\displaystyle \frac{-\sqrt{5}}{5}}$と書けます。
$\cos\angle ABD = \frac{\mbox{[ケ]}\sqrt{\mbox{[コ]}}}{\mbox{[サ]}}= {\displaystyle \frac{-\sqrt{5}}{5}}$
「じゃあどうして$\angle ABD$は鈍角なの?」と考えると、与えられた条件だけでは言い切れません。$\angle ABD$が鋭角であるような2円も書けます。だから問題文中で「図のように交わる」と限定してるんですね。
では気持ちを切り替えて$AD$を求めましょう。$\cos\angle ABD$を求めてるので、もう自然に余弦定理を使うでしょう。
$\cos\angle ABD$を求めさせてるのは明らかに$AD$を求めるための誘導です。ここまで誘導が徹底して細かな点をくれるのがセンター試験の良いところであり悪いところです。
さて能書きはこのくらいで$AD$求めます。$\triangle ABD$に余弦定理を適用して
\begin{eqnarray*}AD^2 & = & BA^2 + BD^2 - 2 \cdot BA \cdot BD \cdot \cos\angle......4 + 6 \\& = & 20 \\AD & = & \sqrt{20} \\& = & 2\sqrt{5}\end{eqnarray*}
となります。
$AD = \mbox{{[シ]}}\sqrt{\mbox{[ス]}} = 2\sqrt{5}$
続いて円の半径$OA$を求めよとのこと。ここまでで$\sin\angle ABD$$AD$が解ってる($\sin\angle ABD$$\cos\angle ABD$を求めるときに求めた)ので、正弦定理を使えば円$O$の半径はすぐに解ります。
\begin{eqnarray*}2\cdot OA\cdot\sin\angle ABD & = & AD \\OA & = & \frac{AD}......\frac{5\cdot 2\sqrt{5}}{2\cdot 2\sqrt{5}} \\& = & \frac{5}{2}\end{eqnarray*}
$OA = \frac{\mbox{[セ]}}{\mbox{[ソ]}} = {\displaystyle \frac{5}{2}}$
ちょっと寄り道して。私がこの問題を始めて解いた日は調子が悪かったようで(たしか前々日は朝まで飲んでた)、とんでもない解き方をしました。どんな解き方かというと
$\triangle OAD$に余弦定理を適用すると
\begin{displaymath}OA^2 + OD^2 - 2 \cdot OA \cdot OD \cdot \cos\angle AOD = AD^2 \end{displaymath}
となる。
中心角は円周角の二倍であることを考慮すると
\begin{eqnarray*}\cos\angle AOD & = & \cos 2 \agle ABD \\& = & 2\cos^2\ang......ht)^2 - 1\\& = & 2\cdot\frac{1}{5} - 1\\& = & -\frac{3}{5}\end{eqnarray*}
であるから
\begin{eqnarray*}OA^2 + OD^2 - 2 \cdot OA \cdot OD \cdot \frac{-3}{5} & = & AD......dot\frac{5}{8} \\& = & \frac{25}{4} \\OA & = & \frac{5}{2}\end{eqnarray*}
となる。
とやって$OA$を求めました。これは大変ですね。
まあセンター試験は所詮は穴埋めだし、どんなやり方でやろうが最終的に答えが出れば良いです。でも、見通しの悪い解き方をしてると、時間が足りなくなります。満点を狙う人にとってこれは由々しき問題なので、そういう人は洗練されたやり方で解けるよう日頃から訓練しておきましょう。

また円$O'$の半径$O'A$$\frac{\mbox{[タチ]}}{\mbox{[ツ]}}$である。

続いて円$O'$の半径を求めます。これはちょっと難しい。催眠状態から抜け出して発想を切り替えることが必要です。
というのも問題文をざーっと読んでくと

$O$の半径$OA$$\frac{\mbox{[セ]}}{\mbox{[ソ]}}$である。また円$O'$の半径$O'A$$\frac{\mbox{[タチ]}}{\mbox{[ツ]}}$である。

となっていて、何か円$O$の半径が求まると自然に円$O'$の半径が求まるような気分にさせられます。二つの円の半径を求めるのが一連の流れで、円$O$の半径を用いて円$O'$の半径を求める気分ですね。
センター試験の誘導に乗っていくのに慣れてるのでそう考えてしまうんですが、実は違います。最初に条件与えられた時点で既に円$O'$の半径は求まるのです。何と!
もし問題文をセンター試験らしくするのなら

$O$の半径$OA$$\frac{\mbox{[セ]}}{\mbox{[ソ]}}$である。
次に円$O'$に目を向けると半径$O'A$$\frac{\mbox{[タチ]}}{\mbox{[ツ]}}$である。

という形になるでしょう。
催眠状態から目覚めたら図をよ〜く見て、円$O'$の半径の求め方を考えましょう。
まず解るのは$AB$$OO'$が直角に交わるということです。円の性質から、直線$OO'$に対して図形が対称になるので、これは明らかでしょう。
直交するんだあと気が付くと、対称性から$AH=BH$が解って($AB$$OO'$の交点を$H$とした)、ついでに$\triangle AHC\equiv\triangle BHC$も解って、$\triangle CAB$$CA=CB$の二等辺三角形だというところまで、一瞬で解ります。
そして$\sin\angle ABC$が与えられています。だから「$AC$が解れば正弦定理が適用されて$O'$の半径が解るのになー」と思いながら眺めていくとどうも$BC$が求まりそうです。ということは$AC$も!
ここで「解けた!」という気分になるので、図を眺めるのをやめて、ようやく計算を始めます。その前に何で$BC$が求まるかですね。
それは$\triangle CHB$を眺めると三角比の定義から
\begin{displaymath}BH = BC \cos\angle ABC \end{displaymath}
が言えるからです。なんか「あっ」とやられた感じ。
では計算していきましょう。まずは$\cos\angle ABC$から。
\begin{eqnarray*}\cos^2\angle ABC & = & 1 - \sin^2\angle ABC \\& = & 1 - \l...... & = & \frac{5}{25} \\\cos\angle ABC & = & \frac{\sqrt{5}}{5}\end{eqnarray*}
$\cos\angle ABC$の符号を決めるところで$\angle ABC$が鋭角であることを用いてます。
つづいて$BC$
\begin{eqnarray*}BC & = & \frac{BH}{\cos\angle ABC} \\& = & \frac{AB / 2}{\...... & = & \frac{3\cdot 5}{2\sqrt{5}} \\& = & \frac{3\sqrt{5}}{2}\end{eqnarray*}
これで準備が整いました。あとは仕上げだけです。
$\triangle ABC$に正弦定理を適用して
\begin{eqnarray*}2\cdot O'A\cdot\sin\angle ABC & = & AC \\O'A & = & \frac{A......rt{5}\cdot 5}{2 \cdot 2 \cdot 2\sqrt{5}} \\& = & \frac{15}{8}\end{eqnarray*}
と長い道のりを経てようやく$OA'$が求まります。
$O'A = \frac{\mbox{[タチ]}}{\mbox{[ツ]}} = {\displaystyle \frac{15}{8}}$
ここで白状しますが$\triangle BHC$に注目して$BC$を求めるのはLoving Mathでの解説を見るまで気が付きませんでした。はじめ私は次のように解きました。
$\triangle AHC\equiv\triangle BHC$が言えるから$\angle ABC = \angleBAC$が言えて、さらに三角形の内角の和から$\angle ACB = \pi - (\angleABC + \angle BAC) = \pi - 2\angle ABC$が言える。
$\triangle ABC$に余弦定理を適用して
\begin{eqnarray*}2\cdot O'A\cdot\sin\angle ACB & = & AB \\O'A & = & \frac{AB}{2\sin\angle ACB}\end{eqnarray*}
ここで
\begin{eqnarray*}\sin\angle ACB & = & \sin(\pi - 2\angle ABC) \\& = & \sin ......ac{2\sqrt{5}}{5} \cdot \frac{\sqrt{5}}{5} \\& = & \frac{4}{5}\end{eqnarray*}
だから
\begin{eqnarray*}O'A & = & \frac{AB}{2\cdot\frac{4}{5}} \\& = & \frac{3}{2\......5}} \\& = & \frac{3\cdot 5}{2\cdot 4} \\& = & \frac{15}{8}\end{eqnarray*}
となる。
倍角公式が出る分こっちの方が洗練されてない感じがします。

さらに2円に中心間の距離は
\begin{displaymath}OO' = \frac{\mbox{[テト]}}{\mbox{[ナ]}} \end{displaymath}
となる。

ここまでで$OA$$O'A$を求めてて、その過程で$AB\perp OO'$$AH=3/2$が解っているので$OO'$を計算するのは簡単です。ピタゴラスの定理(三平方の定理)を適用すれば良いです。
\begin{eqnarray*}OH^2 & = & OA^2 - AH^2 \\& = & \left(\frac{5}{2}\right)^2 ......\frac{9}{4} \\& = & \frac{16}{4} \\& = & 4 \\OH & = & 2\end{eqnarray*}
\begin{eqnarray*}O'H^2 & = & O'A^2 - AH^2 \\& = & \left(\frac{15}{8}\right)......)}{64} \\& = & \frac{9\cdot 9}{64} \\O'H & = & \frac{9}{8}\end{eqnarray*}
なので
\begin{displaymath}OO' = OH + O'H = 2 + \frac{9}{8} = \frac{16 + 9}{8} = \frac{25}{8} \end{displaymath}
となります。
$OO' = \frac{\mbox{[テト]}}{\mbox{[ナ]}} = {\displaystyle \frac{25}{8}}$
さて全部解けました。やれやれ。この問題では$O'A$が求まるかどうかというのがポイントですね。
$O'A$を求めるのは難しいと思うので、設問の[タ]〜[ナ]は落として8点失っても、そんなに気にすることはないと思います。
数学で満点逃すのは悔しいでしょうが「別に国語で余分に8点取ればいいもんね!」という感じでいくのが良いでしょう(「国語」は「英語」「物理」「倫政」等好きなのに代えて良し)。

せぎてつ伝言板
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最終更新日 : 2001年1月29日(月)
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